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祖父母

ある山奥の屋敷。
私と祖父母は居間でくつろいでいた。

炊いてあったお米に、祖母の指示でわかめ(おにぎり用のまぜるやつ)をふりかけ、しゃもじでまんべんなくまぜた。
私はそれをおにぎりにし、祖父母に一つずつ渡しに行った。

「おばあちゃん、おじいちゃんはなんで出家したの?(私の祖父は住職でした)」

私は祖父が少し怖く、話しかけにくかったので、祖母にそう尋ねた。

「おじいちゃんに、直接聞いてごらん」祖母はニコニコしながらそう言った。

「おじいちゃん、なんで出家したの?なんでお坊さんになったの」少し緊張しながら私は尋ねた。
仏頂面で座っていた祖父は、一言「つまらなかったから」そう答えた。

私はなぜか楽しくなって、「つまんなかったの?あきちゃったの?サラリーマンが?」と小躍りしながら聞いた。(実際に私の祖父はサラリーマンだったことはない)
祖父はそれには答えず、だまって私のおにぎりを食べていた。

私はキッチンでお茶を入れ、祖父母に出しながら、

「おじいちゃんおばあちゃん、私これから頑張って稼いで、この家を取り戻すから。だから安心してね。そうしたらまたみんなで暮らそう」そのような話をしながら私の顔は涙でぐしゃぐしゃで、言葉もうまく話せておらず、二人に伝わったかどうかわからなかった。
それでも祖母はいつものようにニコニコしていたし、祖父は相変わらず仏頂面で黙って座っていた。

 

 

祖父は住職でした。私が4歳の時に他界したので、ほとんど会話したことはありません。
祖父母の家に行くと、ごくまれに皆に祖父と向き合って正座させられ二人きりにされましたが、お互いどうしていいかわからず、黙ってにらみ合ったまま。
そのうち祖父が片手をちょっと前に出して床をたたき、バンと音を立てるのです。脅かしてやろうと思ってたのかな(笑)
私は祖父とにらめっこしている間いつ泣き出してもおかしくない状態で、その音を合図にわーっと大声で泣きました。祖父は「うるさいっ」ぼそっと言います。祖母が飛んできて祖父に「おじいさん、もう何してるんですか」と文句を言っていました。私はすぐに別室へ連れていかれました。

親も親戚もそれを見て笑っていました。不器用な祖父と私を打ち解けさせようとしていたのだと思います。

そんな記憶しかない祖父ですが、怖いと思ってはいたものの、大概自室にこもっていたし関わりはなかったので、嫌いではありませんでした。
祖父が亡くなった後は祖父の電動ベッド(心臓が悪く、自動で起きられるベッドを使っていた)でよく遊びました。遺品の万年筆をもらい、しばらくは大事にしていたのになくしてしまいました。

祖母はいつでもニコニコしていて、私が何をしても決して怒りませんでした。
家庭菜園を大事に育てていて、いつもキュウリを大きく育てて(ほんとうは他のキュウリの栄養を取ってしまうので良くないのですが)私がオバケキュウリだーと喜ぶ顔を楽しみにしていました。
私は祖母と畑を見に行くのが大好きでした。
友達と遊ぶより祖母と遊ぶ方が断然多く、池の鯉にご飯をあげに行ったり、裏山の見晴らし台へ二人で登って、切り株に座ってネギ坊主(ネギの頭のところにまるい禿げ頭がついてた)を眺めたり。敷地は広かったので、いろんな場所に畑が分散していて、いつでも冒険でした。
祖母の梅ジュース、あんなに美味しい飲み物を他に知りません。
野イチゴのジャムをよく煮てくれました。二人で摘みに行くのですが、必ず中に蟻が入ってて。あの頃は虫がそこまで苦手じゃなかったのに今では絶対無理です。

 

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